about

博物館にある作品や資料に触れてみたい。そんなきっかけから、コンサバターになりました。

文字通り“歴史にふれる”ことのできるこの仕事を、私はとても面白いと思っています。

ものにはものが過ごしてきた歴史があって

修復の過程で出会うその痕跡や手がかりからは、多くのことを読み取ることができます。

道具の跡や細かい傷からつくった人や使った人の気配に触れたり、素材の劣化から置かれていた環境を推測することは

ものの語りを聴くようで、私にとって深く豊かな経験です。

コンサベーションは、そういった過去と未来をものを通してつなぐ仕事です。

答えがわからないことも多いので、調べたり、分析したり、テストして最適な方法を見つけていきます。

あまり知られていない職業で、日本の博物館に修復をする職員がいる館も、本当にごくわずかです。

この分野を知ってもらったり、興味をもってもらったりすることが必要なのではないかと、

考えたことや経験を書いたり、ワークショップをしたり、修復を伝えることや、いっしょにやってみることをしています。

 

 bansa nokota 万差の個多”に由来します。禅の仏教学者、鈴木大拙の本で出逢った言葉です。

万の差がある個がいっぱいあって、それでいて同時にひとつ

なんだか暖かいイメージが浮かびました。

ローマ字だとちょっとラテン語っぽくて、カタカナで後ろから読むと笑える。

修復に限らず、工芸、文化や教育のいろいろな視点や想いが、分野や国をこえて、つながれば良いなと思っています。