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【修復の話 9】ギルディング ー はじめて金箔貼りをした日のこと
こうやって、真ん中あたりに息をふきかける—— クリスティーンが金箔を操ると、それは良くしつけられた生き物のようにクッション付きのパレットの上にしわひとつなく広がった。クリスティーンは私が修復を学んでいた学校で長年教えていたギルディングの先生… -
【修復の話 8】コンサバターってどんな仕事?— 18世紀マントルピースの修復事例〈後編〉
前編に引き続き、マントルピースの修復の事例をご紹介します。前回は修復の作業に入る前段階の、観察やテスト、分析などを経て、修復方針を立てて行くプロセスが実は大事という話でしたが、今回は実際の修復作業を順を追ってご説明しつつ、修復の考え方の… -
【修復の話 7】コンサバターってどんな仕事?— 18世紀マントルピースの修復事例〈前編〉
今回は、修復の話4の記事でご紹介したレタートレーと同時期に修復したマントルピースの事例をご紹介します。同じく、ロンドン中心部にある シティ・アンド・ギルズ・オブ・ロンドン美術学校で、修復を学んだ際の修復事例です。 このマントルピースもレター… -
【修復の話 6】修復にまつわる”あいだ”
以前、子どもたちに向けたアメリカの職業紹介の資料を見て、大変驚かされたことがあった。たくさんの職業の中に、コンサバター(保存修復師)の仕事が紹介されていたことがまず驚きで、向いている人の欄に “アートとサイエンスが好きな人” とあった。実際… -
【修復の話 5】コンサバターってどんな仕事?— 19世紀レタートレーの修復事例〈後編〉
前編では、私が学校の卒業制作で作品を実際に修復する前段階までの話を書きましたが、後編では実際に行った修復過程を順を追って説明します。 基本的に修復には毎回同じように決まった手順というものは無く、作品の状態に応じて工程の優先順位を変えていか… -
【修復の話 4】コンサバターってどんな仕事?— 19世紀レタートレーの修復事例 〈前編〉
私は、ロンドン中心部にある シティ・アンド・ギルズ・オブ・ロンドン美術学校で、3年間修復を学びました。この美術学校は、1854年に設立され、イギリス国内で最も長い歴史を持つ美術学校の一つです。今回この記事でご紹介したいのは、私が卒業制作として… -
【修復の話 3】 触れる、さわる〈後編〉
前編では、ものに触れる事で得られる価値と、触れる事で起こり得るダメージについて書いたが、後編ではそのバランス—保存するということと、生かすということ—について考えてみたい。 相反するコンセプト 作品や資料に近づく方法として、もっと美術館や博… -
【修復の話 2】 触れる、さわる〈前編〉
触れる事で得られるもの コンサバターとは、文化財や美術品、資料や個人的思い出の品などを保存、修復する仕事だけれども、私が初めコンサバターになりたいと思ったのは、実はこのような文化財を継承することに関わりたいとの想いからではない。どちらかと… -
【修復の話 1】ものとの対話
この記事を書いた人 森尾さゆり コンサバター(保存修復師) 東京都出身。2007年ロンドンに移住。セントラルセントマーティンズでガラスアートを学んだ後、モザイク工房に 6年間勤務。2015年よりシティー&ギルド・ロンドンアートスクールにて、修復を学… -
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